継走〜衝き動かすもの(2)

 前述の通り、授業中のシミュレーションと貧血でぎりぎりの状態の中、なんとかAチームのメンバーに入ることができました。レース当日は快晴。コンディションは良好でした。上位と目される4校の指導者の顔触れは以下の通り。

・浜須賀:剱持先生…西浜を関東、松林を駅伝で全国に導く。
・松林:小澤先生…後に浜須賀ではソフトボールの顧問でしたが、梅田へ異動後、陸上へ復帰。
・鶴が台:高橋先生…浜須賀で女子を全国中学駅伝に導く。
・梅田:阿部先生…鶴が台、浜須賀、中島と陸上部顧問を歴任。

 なお、当時の地区駅伝は今と違い、区間の距離に差がありました。

1区 4.450km
2区 2.570km
3区 3.700km
4区 2.570km
5区 2.570km
6区 3.700km

 1区にはもちろんエースが集います。3区、6区が今と違って長いため、ここに力のある選手を持ってくる学校が多かったかな。2区にもスピードタイプの選手が揃っていました。1区の注目選手、まずは後に神奈川大学で箱根駅伝を走った円蔵の辻原。中学3年の夏、バスケ部引退後に陸上部へ来て、いきなり秋の県総体3000mで3位(9分00秒でした)に入った選手です。そして母校からは後に法政大学で箱根を走った竹崎。秋の県総体で9分08秒で走っています。そこに中距離から長い距離までなんでもこなす鶴が台の岡田がいて、この3人が抜け出るだろうと思っていました。岡田もこの年の県選手権、県通信、県総体等の800mファイナリスト常連でした。タイムも2分03〜04秒くらいで走っていたと思います。続くは松林の中村、梅田の石井。この2人も早くから頭角を現していました。中村は2年生の時に地区陸で800m2分07秒台で優勝している選手です。流麗なフォームで、長い距離も強い選手でした。石井は飛び跳ねるような走り方をする選手でしたが、1年時から竹崎と凌ぎを削る存在でした。私は円蔵は度外視していて、鶴が台に比べて後半の層が厚い松林、梅田を、竹崎がどれだけ引き離してくれるか、に焦点を当てていました。

 レースは定刻通り10時に始まりました。私はレース展開は見ていません。ひたすらテントでじっとしていて、レース時間に合わせてアップをしていました。しばらくすると走り終えた選手が戻ってきます。皆、一様に浮かない顔をしていました。2区を走った荒井はうずくまってしまいました。後で知った話なんですが、1区で竹崎は円蔵の辻原、鶴が台の岡田のハイペースについて行けず、3位で来たものの、4位・梅田の石井に数秒しか差をつけられなかったとのことです。辻原、岡田はキロ3分ちょっと、中学生としてはかなりのハイペース。4.4kmを13分46と48秒。

■1区通過順位(トップとの差)
1.13.46 円蔵A
2.13.48 鶴が台A(2秒)
3.14.14 浜須賀A(28秒)
4.14.19 梅田A(35秒)
5.14.32 松林A(46秒)

■1区区間順位
1.13.46 辻原(円蔵A)
2.13.48 岡田(鶴が台A)
3.14.14 竹崎(浜須賀A)
4.14.19 石井(梅田A)
5.14.32 中村(松林A)

 2区。スピードランナーが集います。円蔵は後退。鶴が台がトップを奪います。2位は5番手からジャンプアップした松林。池田が区間賞の力走でした。1秒後の3位に浜須賀、4位の梅田はやや差をつけられた格好になります。

■2区通過順位
1.22.15 鶴が台A
2.22.48 松林A(33秒)
3.22.49 浜須賀A(34秒)
4.23.23 梅田A(1分08秒)
5.23.31 松林B(1分16秒)

■2区区間順位
1.8.16 池田(松林A)
2.8.20 雲野(松林B)
3.8.27 戸崎(鶴が台A)
4.8.33 永野(旭が丘A)
5.8.35 荒井(浜須賀A)

 3区。準エースが集いました。依然先頭は鶴が台で、2年生時からの私のライバル・柴田が区間4位でまとめトップをキープ。2位には野村が走った松林。差は28秒。3位には松林と同時にスタートした浜須賀・三富がやや遅れて入りました。4位には梅田。木南が区間賞の走りで浜須賀の22秒後方に迫ってきました。

■3区通過順位
1.34.38 鶴が台A
2.35.06 松林A(28秒)
3.35.12 浜須賀A(34秒)
4.35.34 梅田A(56秒)
5.36.33 松浪A(1分55秒)

■3区区間順位
1.12.11 木南(梅田A)
2.12.18 野村(松林A)
3.12.19 佐藤(第一A)
4.12.23 柴田(鶴が台A)
4.12.23 三富(浜須賀A)

(続く。)


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