春のF1日本グランプリ

■初の春開催
 例年秋に開催されていたF1日本グランプリ。今年は初の春開催となり、4月7日日曜日、私も鈴鹿サーキットへ観戦に行ってきました。今年は開花が遅れたこともあって、満開の桜が咲き誇る中でのグランプリウィーク。海外からいらしたファンの目も充分に楽しませてくれたようです。鈴鹿サーキットも桜をデザインしたグッズを多数販売。どれも売り切れ続出という盛況ぶりでした。

 レースでは唯一の日本人ドライバーである角田裕毅選手が入賞となる10位を獲得。鈴鹿に詰めかけた10万2千人のファンを沸かせてくれました。私もレース中、角田選手が走るマシンが目の前を通る度に声を上げて応援していました。気付けば目が真っ赤。チェッカーフラッグが振られた時は、泣きそうになるくらい喜んでいました。

■日本グランプリの持つ観戦文化
 F1日本グランプリが楽しいのはこうしたレースや応援しているチームやドライバーの応援だけではありません。フリープラクティスや予選、決勝の前後に見受けられるファン同士の交流する光景もまた楽しいのです。日本のF1ファンは世界でも独特で、類を見ない存在として知られています。

 まずは応援グッズを創意工夫して自作してくる事。洒落の利いたメッセージやデザインボードを自作してくる人もいれば、F1マシンを模倣したデザインのヘルメットや帽子、ウェアを作る人もいますし、アイドルの応援で見受けられるような団扇を持っている人も沢山います。毎年アイデアに富んだグッズを身に付けたファンが国際映像に映し出されますので、それを見るのも一つの楽しみです。

 そして日本には各チーム、各ドライバーのファンがそれぞれ沢山いて、思い思いのままに応援している事が挙げられます。外国でのグランプリでは、例えばイタリアグランプリならフェラーリファンが9割を占めるという状況で、開催国毎にファンがほぼ固定されているケースが多いようです。そういった観点からも日本のファンはそれぞれのチーム、ドライバーにリスペクトがあって素晴らしいという評価を受けています。また、家族連れのお客さんが多いのも一つの特徴です。

■楽しいファン同士の交流に思わず笑顔
 私は今年のF1日本グランプリは日曜日の決勝レースだけの観戦でしたが、レース後には外国の方が角田選手のチャントを歌ったり、メキシコの方々が日本グランプリや鈴鹿サーキットに対して「アリガト!」コールをしたり、「スーズーカ!」コールをしたりしてファン同士で交流している姿が見受けられて、とても幸せな世界が広がっているなと思わず笑顔になれました。「アリガト!」コールや「スーズーカー!」コールはこちらこそありがとうという気持ちになりました。

 私は持病の鬱病の影響もあって、今年の春先はかなり厳しい精神状態で過ごしていましたし、日本グランプリも見に行くかどうか迷うほど体調も悪かったです。ですが、こうした光景を見て自然に笑顔になれたことで、

「あ、まだ私も笑えるんだな。」

と思いました。まだ現地で友人知人に会えるほどの回復は見せておらず、当日は誰一人として会いませんでしたが、私にとっても明るい材料を見つけられた瞬間でした。

■来年もまた
 ひとしきり雰囲気を楽しんで夕方に鈴鹿を後にしてからは、節約のため宿泊はせず、当日の内に東京まで帰って来る日帰り弾丸ツアーでしたが、間違いなく行って良かったです。来年もまた、今度は心身の調子をちゃんと整えてグランプリウィークを楽しみたいと思います。また上記のようなF1日本グランプリならではの光景、笑顔溢れる光景を見たいですし、楽しみにしたいと思います。

 何よりも、今回はF1に助けてもらいました。本当に感謝です。


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