#NeverGiveUp東京、その後

 12月8日は、私にとって記憶を遡る日。FC東京バレーボールチームが活動休止を発表した日付です。2年前の2021年12月8日、まずはツイッターで活動休止の報を知りました。コロナ禍の影響で観客動員数が減って収益を上げられないこと、スポンサー収益を上げられないこと、Vリーグからの放映権料の分配もないこと、こうした複数の要因が背景にはあったとのことです。

 私は活動休止の発表があった後の残りのリーグ戦、出来る限り足を運びました。FC東京バレーボールチームの年間運営費は約5〜6億円だそうです。1人のファン・サポーターがどうにかできる額ではありません。それでもファンに出来ることは残された試合を応援することのみ。声出し応援が出来ず、チャントの歌えない墨田区総合体育館。空席の目立つ客席。「このままチームが無くなる5月まで何も出来ないまま終わるのか」。そんなことを思いながら、手にしたハリセンを目一杯叩くくらいしか出来ませんでした。

 Vリーグのホーム最終戦は3月に町田で行われました。そこでファンの方から「チーム全体譲渡の目処が立ったらしい。」と、噂レベルですが、ちらっと情報が入りました。それから1ヶ月後の2022年4月26日、FC東京から株式会社ネイチャーラボへのチーム譲渡が発表されました。そして同年6月1日からプロチームの東京グレートベアーズとして、チームは引き続いてV1リーグを戦うことが発表されました。一連の背景には野瀬選手や原口さん(現・チームディレクター)、ネイチャーラボの皆様をはじめとした方々の相当な尽力があったそうです。本当に感謝です。

 一方、私は当時のメンバーでチームが続くことに、それもプロチームとして生まれ変わることに、まずはほっとしましたが、それと同時に「またいずれ休部廃部に似た事態を繰り返すのではないか。」といった一抹の不安もあったのが正直なところでした。しかしプロチームとしてスタートを切った東京グレートベアーズは私の不安を良い意味で裏切ってくれています。

 チームは現在、2シーズン目の真っ最中。ホームゲームの演出、数々のタイアップ企画、ビーチバレー参加、宮下公園でのエキシビジョンマッチ、応援バスツアー、Meet&Greetといったファンとの交流イベント等等。FC東京時代では見られなかったスポーツの持つエンターテインメントの側面を魅せながら、クラブは様々なバレーボールの可能性を見せた活動を積極的に行ってきました。今季は日本代表クラスの選手も獲得し、リーグに向けた戦力拡充もしつつ今日を迎えています。会場もチケットが前売り完売となることが増えて、FC東京時代とはまた違った盛り上がりを見せています。昨シーズンの有明コロシアムで行われたゲームでは、Vリーグ男子最多入場者数記録を更新する8,142人の観客を集めました。2年前のチーム消滅の危機が嘘だったかのような、クラブコンセプトでもある「バレーボールドリーム」を見せていただいています。

 選手の皆さんもおそらくは「バレーボールを出来ることが当たり前ではない」ということをこの2年間で痛感していると思います。だからこそSNSでの発信も含めて様々な企画、演出を理解して、日々活動されているのでしょう。私としても、応援しているチームが無くなるという危機に直面して、改めて日本のスポーツの持つ位置づけや価値を考えさせられました。今は応援できるチームがあることに感謝をしています。また同時にスポーツの持つ力、可能性にもこれまで以上に期待をしたいと思います。世界一の競技人口を誇ると言われるバレーボール。今後も応援は勿論のこと、スポーツ界にどんな風を吹かせるかにも注目してみたいと思います。

・参考リンク〜FC東京:FC東京バレーボールチームの譲渡について
・参考リンク〜「可能性は1%もない」FC東京の休部から半年…フィンランドにいたバレーボール選手はどうやって“譲渡先”を探したのか?


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