学校スポーツの中にいて思うこと

母校で中長距離ブロックのアシスタントをするようになって2年が経ちました。今回はちょっとその間に感じたもやもやを吐き出してみたいと思います。「もやもや」なのであまり明確な結論は書けてないかもですが。長文です。

■母校陸上部の状況
母校陸上部は昔はスポーツ推薦で選手を採っており、短距離、跳躍を中心に県内でもそこそこの位置にいる強豪校でした。ここ数年は推薦で選手を取ることがなくなり、一般入部でどれだけ部員が入ってくるか、毎年期待半分、不安半分の状態です。そんな中で中長距離をやりたいと入ってくる選手たちは、中学時代に陸上競技経験者だけではなく、未経験者もいます。むしろその方が多いのが現状です。素質に恵まれた選手たちばかりではありません。総体や新人戦では県大会に進める選手はごく少数です。そういう面から見ると、まだまだ「弱い」と言えるでしょう。でも、みんな強くなりたいと思って入ってきているので、その手助けができればいいなと思いながらやってきました。

■理想主義?
これは以前から度々言っていることではありますが、スポーツはやらされてやるものではないと思っています。私があれやれ、これやれ、と指示して結果を出しても、それでは高校生という大事な時期で人としての成長はあまりないのではないかと思っています。もちろん指導者の方々によっては、結果を出させることを信条としている、あるいは生計を立てている方もいらっしゃると思いますし、それは一つのスポーツの貢献の仕方なので、その辺は否定しませんが、母校はそのような状況ではありません。もし結果を求められるなら週末しか行けない私よりも、他の指導者が指導に当たるべきでしょう。なので、私が続けている以上は、理想主義と言われるかもしれませんが、部員たちに自分で考えることを求めます。もちろんメニューは作成しますが、土曜日以外は私はいないので、そうした中で取捨選択をして、自分で組み立てることを求めています。また、こういう練習がしたいという意見、要望があれば聞くようにしています。どの練習が正しいか、効率がいいかではない。自分で考えて成功したり失敗したりするのが大事だと。自分のやることに責任を持つことが大事だと思ってます。

■部活と理想のギャップ
そんなこんなで2年間経ちました。1年目は、私の勉強不足もあり、なかなか結果が出ないこと、それと、理想とするスポーツの在り方とのギャップがあり、色々とぐらついていました。なんでぐらつくかというと、スポーツは基本はまず遊びであって、楽しむもの。競技スポーツはその延長上にあるものと思っているからです。スポーツを一生懸命やることだけが尊いのではないと思うのです。でも学校の部活動は、私の考えるスポーツとは対極に位置しているかもしれません。

■スポーツに対するイメージ
皆さんはスポーツに対してどんなイメージを持っていますか? 難しそうだな、きつそうだな、とか、運動が苦手な人ならなおさらそう思うんじゃないでしょうか。部活とかだとなおさらです。でも本当はスポーツは誰でも気軽に触れて良いものなんだよ、と。でも部活で競技スポーツが導入になると、スポーツが苦手な子は敬遠してしまいます。また、やる気がある、ないで判断、評価されてしまいます。私はそうはしたくない。今のところ、皆さん競技志向で入ってきますし、部としてもインターハイを目指すという方向性が定められているため、問題は起きていませんが、仮に楽しんで走りたい、と言う子が来ても、私は否定はしません。強いて言えば、学校スポーツ=教育だから、そういう面から見た場合、上記のように自分で考えさせることが重要だと思っています。

■スポーツの認知度
スポーツを楽しんだり、例えば私のようにサッカー未経験者がJリーグや海外サッカーの試合を見るというように、楽しむ層、見る層等から認知されないと、一部の競技スポーツがアピールした所で、社会的にスポーツが認知されないと思うんです。認知されなければ、競技スポーツの活動の場も、おのずと限られたものになってくるでしょう。実際に部活で一生懸命やってきて、それはとても素晴らしいことなのですが、学生を卒業しても、そこから先はスポーツをやる場所が少ないのが現状です。スポーツは学生時代までの思い出、人間形成の手段のみで終えるものという捉え方では、認知度も発展も頭打ちのような気がします。なので、私は単純に身体を動かすことを楽しみたい、という意見は否定しません。母校は長距離が弱いと私に文句を言われても、だからどうしたと。

■強い、弱いとは?
強い弱い、何を以って強いか弱いか。インターハイに行けなければ弱いのか。弱いからと言ってスポーツをやっている人が認められないのか。弱いからと言ってその人が肩身の狭い思いを部活でしなければならないのか。私はそうは思わない。今、部員に5000m18分02秒で走る子がいます。その子が1年の時に入ってきた時はペース走を走っても5分/kmはかかるし、ジョグなんかもっと遅いし、試合に出たら競技運営に支障が出るのではないかとすら思ったほどです。最初の5000mは20分05秒かかりました。でも本人の努力と周りの助けもあって1年で2分タイムを短縮しています。そりゃあこのタイムではインターハイや関東には行けません。でも皆さんはこの選手をどう評価しますか? 単に弱いと切り捨てますか?


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